2012.08.15 RELEASE
<収録内容>
デビュー作の夏盤はリード曲に元チャットモンチーの高橋久美子さんが初の作詞提供!
この作品はVo.keyせんせいをフィーチャーした「ナツ盤」のミニアルバムとなっており
元チャットモンチーの高橋久美子さんが初の作詞提供で参加した「泣き虫ファイター」や、
アニメちびまる子ちゃん’95オープニングテーマ「うれしい予感」のカバーなど全5曲を収録されております。
アートワークはゆずやSEKAI NO OWARIなども手掛ける注目の新進気鋭のクリエイター、ファンタジスタ歌磨呂氏が担当。メジャー第1弾作品は、まさに東京カランコロンワールド満載の1枚に仕上がっております。
まっすぐな歌を軸に、エキセントリックで鋭い複合アンサンブルもまたユーモラスな東京カランコロン。
マニアックな音楽ファンを納得させながらも、さりげなく聴く者を包み込む歌心は、例えば70~80年代の大滝詠一や山下達郎ら、ナイアガラ・ファミリーのポップ感にも通じて、多くの人達の共感を呼びそう。そんな彼等が、遂にメジャーデビューする。
― と聞けば、これまでのファンには多少の疑問が湧くかもしれない。それくらい彼等の音楽は個性的だから。でも改めてバンドのメロディーメイカーであるいちろーとせんせいに聞けば、結成当初から目指していた「音楽を中心とした“東京カランコロン”というブランドの実現化」が一気に現実味を帯びた、ということになる。彼等の本質である“遊びの美学”をメジャーというパレットで展開していくと言うのだから。
― ということで、カランコロンの今後を期待しつつ、「実は○△□だったんですよ」的、過去の洗い出しに始まり、バンドの本質、そして野望(笑)までを、本音で話していただきました。
カランコロンは、今も昔もこれからもブレなく一貫していることもわかるはず。
― そもそもどんな気持ちで東京カランコロンを始めたんですか?
いちろー 僕はずっとシンガーソングライターをやってたんですよ。大学の頃から事務所やレーベルに入って。せんせいとも、お互いにシンガーソングライターをやってる時に知り合ったんです。その頃はわりとシリアスで身を削る感じの曲が多かったんですよ。
せんせい 「こんなにいちろーさん病んでたんや」って(笑)。私は普通にピアノで弾き語りだったんですけど、もともと音楽も聴かない人やから、「えっ、気持ち悪っ!」って(一同爆笑)。
いちろー 変な事をやりたかったんですよね。シンガーソングライターだったんですけどベーシストだったんですよ。
― さすがだね(笑)。
いちろー (笑)二十歳前後のモラトリアム全盛期の話なんで、尖ってたんです。「自分にしか書けないものを書きたい」とか、世の中に不満みたいなのもすごくあったし。自分の中のモヤモヤしたものを引っ張り出して曲にするっていう作り方をしてて。それでメジャーデビューする直前までいったんですけど、「自分でそのCD買うか?」って思ったら、本音のところで、もっと音を楽しんでるもの、遊んでる感のあるものをやりたいなって改めて思ったんです。結局ソロでやってるのが嫌になって、もう1回スタジオで音を鳴らす楽しさを体感したくなって、それで東京カランコロンを組んだんです。
― 楽しむ感・遊んでる感が、カランコロン結成の動機だと。
いちろー はい。ただ僕は、いい歌もすごく好きなんですよ。そこのバランスって本当に自分の中では半分半分で、普通にチャゲアスを聴く時もあれば、ディアフーフやヴァンパイア・ウィークエンドも聴く。両方好きなんですよ。唯一両方に共通しているとすれば、メロディは絶対いいものじゃないと嫌だっていうことで。そこが原点ですね。
― シンガーソングライター的な自分と、バンドの中での自分は、どうバランスを取ってますか?
いちろー シンガーソングライターとしての自分のしがらみやこだわりは、カランコロンを始める前に1回置いたんですよね。「自分はバンドの中にメロディだけ置いてこれればいい」って。そこさえ出来れば、あとはもうみんなの自由でいいかなって。それは今も変わってないです。
― カランコロンの基本的なスタンスですよね。今もセッションから作ることがあると思うんだけど、そこでのいちろーくんはメロディ発掘人みたいな、編集者・監督的な目線でもある?
いちろー そうですね。みんなでセッションしてて「ちょっと待て、今の良かった!」って、そっから広げたりとかは常にあります。いわゆるシンガーソングライターの人が前で張ってるバンドと、ジャムセッションで作ってるバンドと、丁度半々の作り方だと思います。
― そこが珍しいんだよね。このタイプの手の込んだ演奏をするバンドは、シンガーが真ん中に立った場合、バックバンドになってる場合が多い中。
せんせい そこは全員がいちろーさんの持ってくるメロディを信じてるし、いちろーさんも逆にみんなが作る雰囲気や曲の土台とかを信じてるから出来る気がするんですよね。
― 歌やメロディに関してはインディもメジャーもないよね。
いちろー 本当に歌に関して言えば関係ないのに。今回のメジャーの話は、その歌をどうやったら世に広げられるかの手段なんですよね。正直、「どっちでもいいな」って思ったところはあったんですよ。今のままいい曲作ってれば絶対大丈夫っていう確信もあったし、別に「俺は絶対メジャー行かない!」みたいなカウンターな気持ちも全然なかったんで。それよりも、変な“帰ってきた感”があったんですよね。5人でやっていくっていうこのタイミングでまたメジャーから話がきたっていうのが面白い話だなって思って。
― 楽しい事をみんなでやりたい。そこは変わりなく?
いちろー そうです。「遊ぶんだったら思いっきり遊んだ方が楽しいじゃん」っていうことなんですよね。「武道館でもダジャレ言っちゃおうぜ」ぐらいの(笑)。うちらなんて言ってしまえば本当、悪ふざけみたいなもんなんで(一同笑)。最初、音の傾向も全然合わなかったんです。でも人間が合うというか。とりあえず5人でスタジオにいると楽しい。そこからの始まりですから。
せんせい せっかくこんなに楽しい5人が集まったんやから、「楽しい事をしないともったいなくない?」って。もっとふざけた事をやって、みんなビックリすればいいやんって。「こんなに楽しくてもメジャーでやってまーす」って(笑)感じになればいいなって。でも、それは「楽しい事だけずっとやってバンドをやりたい」とか、そういう薄い感じじゃなくて、すごくその前にいろんな事を経験して、いろんなものを作ってきた上での「やっぱり楽しい事をやりたいよね」なんですよね。
いちろー それと、絶対的なメロディと歌の良さに関しては自信があるんで、全然縮こまる必要ないし、全然いけると思ってるところはあります。
― 具体的にやってみたい事はありますか?
いちろー うちらの周りのインディーズのバンドで、例えばクリスマスソングを作るバンドっていないから逆にやろうと思ってるんですよね。あと男女ヴォーカルだから、スナックで歌えるようなデュエット曲(笑)とか作ってみたいなとも思うし。
せんせい 『ミュージックステーション』に出るとかね(笑)。こういうインディーズっぽいちょっと変わったバンドがテレビに出るっていうことがやってみたい。
いちろー 曲を含めて、自分達がいいと思ってるものを、もっと面白いことにしたいからそれを出来る場を選んでいくことに対して抵抗は全然ないんで。だってavexからデビューするってバブリーな感じじゃないですか。やっぱりどうせやるなら派手に面白いことをやりたいですよね。
せんせい 全員別バンドにゲスト参加したり、俳優になるとかも全然構わないし(笑)。カランコロンは、5人の好きな事が出来る土台になればいいなって思います。
いちろー だから、僕らの歌がちゃんと広まっていくのと同時に、東京カランコロンっていうブランドになっていきたいんですよね。
(text.interview/MMMatsumoto・MARQUEE 編集長)